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題「インプラント治療費にあなたは満足、不満足」
*高すぎないかインプラント治療
第4章インプラントはもっと安くしてほしい
●インプラントを取り巻く現在の状況
インプラントが"第3の永久歯"といわれるように、ブリッジや入れ歯にかわる治療方法として、たいへん優れていることは間違いありません。私自身「入れ歯0への挑戦」と銘打って毎日のようにインプラント治療を行っています。
ネットでもインプラントと検索すれば、おびただしい数の歯科医院が激しいPR合戦を繰り広げています。しかしながら、歯科治療には歯周病やむし歯、義歯やブリッジなどいろいろな検索キーワードがあるにもかかわらず圧倒的にインプラントに集中しているのは、この治療によっていかに収益があがるかということに他なりません。保険治療が可能な項目を検索しても、広告サイトはあまり見かけませんが、インプラント関連になるとびっくりするくらいでてきます。患者さんにとっては選択の範囲が広がっていいことなのかも知れないのですが、反対に多すぎてどこの医院がいいのかその判断に迷ってしまうのではないかと思います。当然ですよね。歯科医師である私自身、よくもここまであの手この手で注目を引くようなPRができるものだと感心するとともに、何かプロフェションである医療業からかけ離れて、物販サービス業であるかのような錯覚さえいだいてしまいます。
そういった状況のなかで、患者さんはなにを基準にインプラントをしている歯科医院を選択すればいいのか、正直な忌憚のない意見を述べたいと思います。
●インプラントは美容外科ではなく医療である
私が思うには、インプラントがこのような高額料金設定になった背景には、このインプラント治療を、美容外科や審美歯科と同じ概念で捉え、自由診療だから高額なのがあたりまえという考えで設定したことに原因があるように思います。しかしながらそれは大きな間違いです。インプラント治療は、歯科において益々重要な役割を果たすことになる誰もが享受すべき医療なのです。再生医療の進歩によって再び永久歯を萌出させる研究もされていますが、現実的には数十年先の話で実用化するにはまだまだ未知数なのです。
だからといって、インプラントが保険適応になるのかといえば、これは社会保険財政やその他もろもろの理由で、残念ながら絶対に導入されることがありません。
それゆえ、インプラント治療が一部のお金持ちしか受けることができないとしたら、それは医療ではなくなると思うのです。なぜなら、WHO(世界保健機構)による健康の定義とは、身体的、精神的のみならず社会的にも健全な状態をいうのであり、それを守り、推進していくのが医療従事者の務めであるからです。
最近は、日本でも格差社会が進行し、富裕層と貧困層に二極分化されつつありますが、医療に関しては格差社会の弊害をもたらしてはならないと思います。
●インプラントは高ければいいというのは大きな誤り
よくインプラントを扱う歯科医院のホームページに「インプラントは安ければいいというわけではありません」というフレーズがでてきますが、この場合は必ずといっていいほど高額な料金設定をしている医院なのです。何を規準に安いといっているのか私には理解できませんし、どの歯科医院もボランティアで治療しているわけではないので当然、利益はあるはずです。また別の章で詳しく説明しますが、インプラントの材料原価は一流メーカーであるかぎり大差はありませんし、インプラント本体(フィクスチュアとアバットメント)は約5万円(今後もっとメーカーにも価格交渉すべきだと思っています)ですが、これが1本の埋入手術で30万?50万になるとすれば、やはり高すぎると思うのは一般国民からすれば当然だと思います。
もちろん、安かろう悪かろうでは困るわけで、粗雑なインプラントを適当に入れてなんの保証もなければ論外ですが、インプラントを1本入れる手術料が15万?20万のインプラントが安いという根拠がどこにあるのか理解に苦しみます。
保険の義歯を作る場合は、型とり、噛み合わせなど5回も治療して合計3万円(片顎)くらいの収入しかありません。その内、材料費や技工料金を除くと数千円の利益しかありません。なおかつ、その調整はほとんど無料で何回もしなくてはなりません。それでも、良心的な歯科医師は患者さんにいい入れ歯を作ってあげようとして一生懸命頑張っているのです。それに比べれば、1本15万?20万のインプラントのどこが安すぎるのかと逆に聞きたいのです。
●インプラントの原価はどのくらいか
先程も少し述べましたが、情報公開の時代でもありますから、インプラントの材料原価をお教えしたいと思います。
といっても、40数種類もあるインプラントの原価をすべて書くわけにはいきませんし、また、三流メーカーの材料原価を知ってもあまり意味がないので、ここでは一流メーカーに限定したいと思います。まず基礎となる部分(人工歯根)が、約3万円、アバットメントといわれる骨格部分が、1.5~2万円技工士が作る上部構造(メタルボンド)が材料費込みで約2万ぐらいです。ですから1本の原価は多く見積もっても、7万円くらいなのです。尤も、付随するいろいろな器具や消耗品など、又その時間帯における間接経費(スタッフの給料や賃貸料、電気代など)もありますが、それは、どのような保険治療をしようが自費治療をしようが、それほど医院によって変らないはずです。勿論、症例によって人工骨を使用して骨造成したりする難症例では、その経費もかかってくるのですが、サイナスリフトやソケットリフトではまた別途料金を算定しているのですから問題はないはずです。
そうであれば、1本につき40万?50万という料金は、通常2?3本のインプラントを植立することを考慮すると120万?150万になるわけで、患者さんサイドからすればちょっとそれはないでしょうという話になるわけです。保険治療中心の一般歯科医院の収入は多いところで1日3万点(患者が約50名来院する医院ですが最近、都市部ではめったにありません)、つまり30万の収入ですから、インプラント1回の手術で、約3日分の収入を得ることになります。
ただ、逆に言えばその位にしなければ、経営していけないと思うほど歯科医院過剰時代にきているのだということもまた事実なのですが、それは近視眼的で短絡的な発想なのです。
●付加価値とはいったい何か
ある商品を売ったりするとき、付加価値をつけて売るほうが高くあります。たとえば、あるネクタイ売り場で、どれでも千円で売っていてまったく売れなかったのに、綺麗な包装に入れて5千円で販売したところ、あっという間に完売したという実話があります。中身はまったく同じなのに見た目を良くするという付加価値が生んだ戦略なのですが、歯科業界でも、最近、頻繁に付加価値について語られることが多くなってきました。しかし、インプラント治療においてこの付加価値ということが、料金を吊り上げる曲者のような気がしてなりません。
患者がインプラント医療に求めるものはお茶のサービスでも豪華な室内装飾でもありません。違和感がなく、よく噛め、審美的にも満足できる歯を、できるかぎり低料金でしてほしいということなのです。
物販業ではないのですから、付加価値というのはより患者さんの口腔機能に優れた影響を与えるという点に限局してほしいと思います。
●CT撮影は利点が多いが絶対ではない
以前は、近くの病院に依頼してCT撮影していたのが、最近では一般の歯科医院でもCTを導入するところが出てきました。トップダウントリートメントといって補綴主導の治療をする場合、骨幅や骨長の少ない症例においてCT撮影は非常に参考になります。現在では高価なこともあり(約2000万円)一般診療所で導入しているところは極めて稀ですが今後、当院も含めて徐々に増えてくることと思いますが、その料金があまり高く転化されないことを望んでいます。ただ、基本的にCTは骨が異常に少ない症例や多数歯欠損の診断に必要なのであって、多くの症例ではCTは必要ありませんし、すべての症例にCT撮影がなければ、インプラント治療をできないというような歯科医師はむしろ初心者ともいえます。CTにも誤差がありますし、実際の臨床では、CTに頼ってばかりいると、いざというとき応用がきかなくて困ることも多いのです。
●大学格差や認定医資格はあまりあてにならない。
現在、歯科大学は日本に、国立大学、公立大学、私立大学、合わせて28校ありますが、その学力偏差値はさまざまです。幸い、私は親が貧乏教師であったため、一生懸命勉強して最難校といわれる東京医科歯科大学を卒業しましたが、それでは出身大学の格差で歯科医師のレベルが決まるかというと、それはあまり当てになりません。同窓生でもあの先生にはちょっと診て欲しくないという人もいれば、お金で入学したのかと言われかねない大学を卒業した先生でも、すばらしいインプラント治療をされる尊敬すべき先生もいらっしゃいます。ですから、相対評価はできても個人評価は禁物です。
それと同様に、認定医資格の問題があります。前述したようにこの資格は日本口腔インプラント学会やドイツ口腔インプラント学会など、いろいろな任意学術団体が発行しているもので国家資格でもなんでもありません。またそれぞれの団体において発行規準が大きく異なっていたり、認定してもらうのに他の分野(小児歯科学会や障害者歯科学会など20以上あります)に比較して非常に高額な研修料金や認定料金を払う必要があったりして、私自身はどうしてもなじめません。いろいろな学会に出席して研鑽を積むことが必要なのであって、わざわざ任意団体に認定してもらう必要はないと思っています。
大学格差や認定医資格、いずれにしても相対評価は確かにできるかもしれませんが、それだけで判断するのは早計です。某医科大学で心臓弁膜症の認定医が初期的なミスを犯して患者が亡くなった事件はまだ記憶に新しいのではありませんか。
●経営コンサルタントに頼るな
最近、過当競争により歯科医院の経営が思わしくないのか、いろいろなコンサルタント会社からダイレクトメールが届くようになりました。それをみると、勝ち組になるための経営戦略、常識破りの歯科医院経営、地域一番店への方法などおどろおどろしい文句がならんでいたり、行列のできる歯医者などという受け売りフレーズの書籍まで販売されるようになりました。こんなことは他の医科(内科、眼科、耳鼻科、皮膚科、耳鼻科など)ではほとんど見られない現象です。なぜ、これほどコンサルが歯科業界に進出してくるのか、私としては疑問と同時に不愉快な気持ちになります。
現状をみるにつけ、患者サービスにもっと取り組まなければならないのは医科の方であり歯科医院は以前と違ってどこも腰が低く、むしろ媚びるようになってきたところもあるくらいです。そこで私が力説したいことは、歯科医師にとって最も大事なことは自利利他の精神を基軸にしっかり持ち、患者さんの要望をできるかぎりかなえてあげたいというハートをもっていれば、コンサルは無用であるということなのです。コンサルに指導され表面的に変っても、それが自らの心の実相でなければ効果は少ないし、逆に自利利他の精神をもっていれば、同業者から少しのヒントやアイデアを聞いただけで自分のものにすることができるのです。
●コンサルタントの真髄(困難や壁を乗りきる最高の手法)
確かに、コンサルタントは使い方を間違えなければ有効な効果をあげることはできますが、それは院長があくまで主体的な場合にかぎります。"コンサルタントに頼めば何とかしてくれるだろう"では逆効果しかありません。コンサルは経営指南をすると同時に、いいところを盗み、それを次のところで教えるわけです。高い指導料を払い、「いいとこどり」されたのではたまったものではありません。
そんなことより、私が最も効果的な自己啓発、問題解決の方法を示しますから、もしなにか壁に突き当たったら、必ずそれを実行してください。この方法は誰でもどんな職業の人でもできますし、私自身、何度もこの手法で難局を乗り越えてきました。
その方法とはまず、壁にぶつかったら問題点を書き出してチャートにすることです。頭の中で考えるだけでは同じことが堂々巡りするだけで問題解決に至りません。書き出して、それを整理することによって、今度は自分がやらなくてはならないことが浮き彫りにされてきます。それを重要な順番に優先順位をつけるのです。そして明日からのスケジュールを立てて、やるべきことを優先順位の高いほうから実行に移していってください。100%うまくできなくても、結果が思わしくなくてもかまいません。実行したら○をつけ、できなかったら×をつけてください。○が続くようになったら、だんだん事態は好転してくるはずですから自分の気持ちも前向きになってきますし、物事はいい方向へいい方向へ展開していくはずですし、いつのまにか問題は解決されることでしょう。
この方法は、別に私の考案ではなくナポレオン・ヒルなど多くの「成功の秘訣」に関する実践方法に出てきます。私に言わせれば、この手法こそ唯一無二のものであり、これができなければ何をやっても無駄だと断言できます。
●過剰サービスとインホームド・コンセントの悪用
以前、「きらら歯科」予防インプラントセンターに来院された患者さん(中年の女性)が、都内の某インプラント専門歯科医院へ行ったところ、何人かの若いイケメン先生の中の1人に個室のようなところでインプラントの説明を受けたけそうです。前に設置されたレントゲンや写真を指し示し、ホストのように肩のあたりを手を置いて、やけに優しく説明をしてくれたけども、やっぱり高くてやめるといったところ、手を返したように冷たい態度で帰されたということでした。
これを聞いて私は開いた口がふさがりませんでした。彼らには医療で儲けることばかりが先に立って医師としてのプライドや哲学がまったく垣間見られないのです。
こんなものがインホームド・コンセントではあってはならないのだが、過剰サービス合戦のなかでいかに自費治療に患者さんをもっていくかという作為が、最近のコンサル指南とともに増加しているように思えます。
●"患者様"は見かけだけの過剰サービス
最近、患者さんを「患者様」と呼ぶ歯科医院が急増してきました。私はこれに否定するつもりはありませんが、多少の疑問があります。というのは、患者とは、文字通り患った者であり、辛く悲しい状態にいる状態の人で、誰もが早くその状態を抜け出したいと考えているのです。障害を持った人に障害者様と決して言わないように、患者に殊更に"様"をつけるというのは、一見、「患者様は神様です」のようなサービス言葉を売りに、献身的にしているというジェスチャーであってそれ以外のなにものでもありません。
当院でも、一人ひとりの個人名に対しては敬意を払う意味で、○○様と必ず様をつけて呼びますが患者様という言い方は決してしません。何度も言うように、最も重要な事は歯科医師の良心が、それぞれの患者さんの人生に対する祈りで貫かれているかどうかにかかっているのだと思います。
●プロフェションとは何を指すか
世の中にはいろいろな職業があり、職業に貴賎はありません。あるとすればその職業に就いている人間がどれだけ貴いか卑しいかにかかっているだけですが、大きく分類すると、ビジネスとプロフェションに分けられます。ビジネスとは一般の流通販売、金融などですが、プロフェションとは医師、法律家、牧師(僧侶)だけの職業を対象としています。その理由は利益追求ではなく人の悩み、悲しみを救うことを目的とした職業であるからなのですが、現実にはセレブといえば医者、弁護士、そして宗教法人は非課税なのを抜け道にして蓄財に走っているお坊さんがたくさんいるのが実相です。これではあまりにも情けないではありませんか。他人の10倍、100倍の収入があっても、毎日のご飯を10倍、100倍食べられるわけはないのです。私にも経験があるのですが、欲を出せばきりがなくなり、もっと上がいるから、儲けようという強欲がでてきて、逆に精神がどうしてもさもしくなってしますのです。そのような医者が優秀なはずがありません。
突き詰めれば、そこに高すぎるインプラントを否定したくなる根拠があるのです。
10ある利益を5にすれば、もっと多くの喜ぶ患者が集まり、総合的な利益は決して減らないばかりか増加するのです。
●自利利他こそが最高の医療哲学
皆さんは、"自利利他"という言葉をご存知でしょうか。これは私の人生訓にしている理念なのですが、これにはいろいろ説があるようです。なかでも最澄(伝教大師)のいう自利とは利他であるという解釈が一番納得できますが、つまるところ、自分の喜び(利益)を求めようとするなら、他人の喜び(利益)をまず第一に考えなくてはならないということなのです。自分の目先の利益にとらわれていると長期的には相手が離れていき、相手の喜びを常に念頭に置いていると自分にも喜びが回ってくるという事実は、誰も経験したことがあるはずです。そういう意味で己の根本的な心根がこの気持ちで貫かれているか否かが最も重要なことなのだと思います。その確固たる気持ちがなければ、いくら表面的なマニュアルどおりの接遇をしても、いつかは見透かされてしまうのです。
●マスコミの視点からみたインプラント
私は歯科医師であるとともに、地域のメディアであるFM三重放送株式会社の社外取締役を委託されていますが、そういう点では医療を供給する側だけでなく、医療を受ける側の立場にたって物事を考えることが多いのかしれません。
いわゆる知識人という層の方々にインプラントについて感想を聞いてみると、よく噛めていいとは思ういけどなんでそんなに高いのかと逆によく聞かれるわけです。
「1本だけなら、40万くらいしてもなんとかできるけど、歯は全部で28本あるわけだから、それを悪くなったからといって次々やりかえていたら莫大な費用になるよ」
まさにその通りです。それでは、一部の高額所得者しかインプラントをしたくてもできないということになりかねません。そのため、私は自ら、低料金設定を実践し、なおかつインプラント治療歯科医師に、「インプラントはもっと安くしてほしい」とお願いしているのです。勿論、地域差があり、都心と田舎ではかかる賃貸料など経費に差がありどのくらいが妥当かはいえません。それで経営が悪化するかといえば、決してそのようなことはありません。いくら材料費が高額だとかいっても、保険治療に比べればはるかに利益率は高いはずです。
近い将来、インプラントが第3の永久歯としてますます脚光を浴びるのは間違いありませんが、それにはあくまで医療として国民にリーズナブルな料金で提供できているという前提が必要条件になります。
●当院のインプラント料金はいくらか
それでは、いったい当院のインプラント料金はいくらかということですが、村田歯科クリニックでは非常に明瞭な料金体系にしています。使用しているインプラント材料は、JMM(京セラ)、アストラ、インプラテックスとそれぞれ症例に応じて使い分けていますが、いずれも一流メーカーで、材料費に多少のばらつきはあるものの、適材適所で選択し、又、一回法と二回法、前歯と臼歯では、手術の難易度やかかる経費もかなり異なるのですが、患者さんが理解し納得しやすいように治療費用は一定にしています。
因みに、インプラントを埋めるのにかかる手術費用は1本15万円(消費税は別)です。その上に被せるものが、メタルボンドといわれるセラミックでは6万5千円、ゴールドやエステニアなどで5万円でしています。また、最近、審美歯科治療で有名になってきたジルコニアセラミックス(詳細は後述してあります)といって金属を全く使用しない最先端の被せ物は、75000円という破格料金で提供し希望者を広げようとしています。勿論、質を落とさず持続可能な適正利益は頂く必要があるので、今後若干の料金がアップすることはあるかもしれませんが、この基本理念が変化することはありません。
●噛み合わせと顎関節症について
このテーマは重複したので削除してください
●医療にブランドは必要ない
ある対談記事で、韓国の歯科医院チェーンの代表が、インプラント料金を一般歯科医院より50%から90%高く設定して医療のブランド化と称していましたが、これには面食らいました。
ヴィトンやエルメスなどのブランドハンドバッグを例にあげて、医療にもブランドがあってしかるべきだという論拠でしたが、冗談ではありません。時計やバックなどは、金銭的余裕のある人が好みのブランドを高価でも買い求めるのは自由ですが、こと医療に関しては、誰もができる限り良質の医療を受けたいと願っているのに、これはブランド治療だからといって不当に高い料金設定されたのでは、それは法外治療というものです。もちろん、私は金持ちしか相手にしないという治療方針であれば、自由競争の世の中ですから、それをあえて批判するつもりはありません。しかし、こうした人たちに、「国境なき医師団達」の想像を絶する活動をすこしでも考えてほしいと思うのは、ないものねだりなのでしょうか。
とにかく、私は「最高のインプラント治療を感動の料金で」を合言葉に、料金革命を全国的に推し進めていきたいと思っています。
●ミャンマーでのNGO活動
以前といっても、もう20年以上もまえになりますが、ふと読んだ英字新聞の中にNEST(巣)という詩がありました。誰が書いたのかも忘れましたが、そのなかに「もし私が、巣から落ちた小鳥の雛をもとの巣に返してあげることができたら、私の人生は無駄ではなくなる」という一節があり、とても共感して、今でも思い出
すことがあります。つまり自分の人生の存在意義というのは、どんな些細なことであっても、他の幸せのために貢献するということではないのかと思うのです。
卑近な例になりますが、私は、縁があって10年以上前よりミャンマー(旧ビルマ)において、NGO活動をしています。経済援助より、これからの国を支える子供たちの初等教育が大切だとの観点からミャンマーの子供たちに教育の機会をあてるため学校建設を主におこなってきました。
現在は、JAMBOF(日本とミャンマー友好の架け橋)という名称の海外ボランティア団体で教育支援活動をつづけています。恥かしながら、ミャンマーでのNGO活動についての紹介は、私のHPから抜粋させていただきました。
また、母校東京医科歯科大学に留学していたミャンマーの学生も、今やヤンゴン歯科大学の教授に何人か就任していて友好をはかっています。
皆さんも記憶に新しいと思いますが、そのヤンゴンは2008年5月に襲ったミャンマーサイクロンにより死者14万人以上の甚大な被害を受けました。政治的な軍部の規制が厳しい中で、我々JAMBOFも街頭募金活動などを精力的に行い、ヤンゴンの被災民に直接、援助物資を手渡す活動も行いました。今後、過酷な状況のなかでの再建支援活動は困難を極めると思いますが、ライフワークとして継続していきたいと思っています。
ミャンマー(旧ビルマ)は、アウンサンスーチー女史が軟禁されていることで欧米各国で非難されている国ですが、真の仏教国で国民性は非常に温和で優しく、大変貧しい国にもかかわらず、他のアジア諸国に垣間見られるようなストリートチルドレンの物乞いがほとんど見られない、功徳心と誇りをもったすばらしい国です。
しかしながら、軍事政権が無能力なため経済力は極度に衰退し、最も重要な教育に予算がまわせず、子供たちが勉強したくても学校すら極端に不足したり、あっても電気がなかったり、屋根には穴がいっぱい空いていて雨が降るとびしょ濡れになったり、日本では想像すらつかない現状です。それでも子供たちは、親兄弟たちを深く愛し、いつも太陽のような笑顔で我々を迎えてくれる姿を想うとき、教育の機会の平等だけは絶対にあたえられるべきだという気持ちから、この活動を10年前から始めました。
当初は、「ミャンマーに学校を建てる会」という名称で、少人数で活動してきましたが、だんだん賛同者も増えてきて、現在はJAMBOF(JapanMyammerBridgeofFriendship)というNPO法人の認可をうけNGO活動を行っています。
現在までに4校の小学校をヤンゴン、モンコック、ミッチーナ、ミジュンピンに寄付し、毎年運動会をしたり、その後も交流をはかっています。
もし、皆さんの中でこの運動に共鳴された方がいらっしゃれば是非ご参加ください。連絡をお待ちしています。